2016年2月29日月曜日

クラリネットソナタ第1番 op.120-1

最晩年の作品のひとつ. 簡潔ながらも完成された作曲技巧, 一見単純だが難解な音楽的内容, 等のブラームス晩年の特徴が典型的に刻まれた傑作として知られる.



第1楽章
ヘ短調, 3/4拍子, ソナタ形式.
短いピアノの序奏の後, クラリネットが重々しい第1主題を奏でる. なお, この主題の音域についてブラームスが迷った痕跡が残されている. 実際, 同時に出版されたヴィオラ版では, この旋律はクラリネット版よりオクターブ低い. やがてやや明るい経過句に到達するも, すぐに暗い第2主題に取って替わられる. 展開部は短くも波乱に富む劇的なもの.

第2楽章
変イ長調, 2/4拍子, 三部形式.
音楽自体は紛れもないAdagioであるが, ブラームスらしく遠まわしにAndante un poco Adagioとされている. そつなく構成されてはいるが, 個人的にはブラームスの緩徐楽章としてはやや音楽の密度が薄いように感じられる.

第3楽章
変イ長調, 3/4拍子, メヌエット.
古い舞曲形式であるが, 踊りだすようなワルツではなく, 有名なワルツop.39-15のような優雅で落ち着いた楽曲に仕上がっている. トリオでは宗教的な静謐さが醸し出される.

第4楽章
ヘ長調, 2/2拍子, ロンド形式.
信号のような二分音符に続いて軽快な八分音符が流れ出すと, 小休止の後にクラリネットにロンド主題が現れる. 小動物的な軽やかさで長調と短調, 動と静の間を走り回る, 愛らしい楽章である.


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