2016年2月21日日曜日

ヴァイオリン協奏曲 op.77

2曲の交響曲を書き終えた後の円熟期の作品. ブラームスの代表作とも言える知名度を持つことからして, 詳しくこの作品について述べる必要はないだろう. (i.e. 誰でも知ってるエピソードについてはjawp等をあたってください.)



第1楽章
典型的な協奏ソナタ形式で, まさに教科書通り, 「お手本」のような完成度を持つ. ここでは一点, 管弦楽による前奏で第二主題が提示されず, 独奏ヴァイオリンによって奏されるまで「温存」されることを指摘しておこう. その結果, 206小節目で初めてこの主題が提示されるに至り, 聴衆は前奏では欠けていたあるべきものがあるべき場所に収まったという安心感を感じ, それがこの優雅な主題の印象を一層強めるのである.

第2楽章
ヘ長調の優美な主部に対して, 嬰ヘ短調の情熱的な中間部という際立った対比を内部に含む楽章. 随所に挿入された半音進行 (45から46のC-Des, 91のF-Fisなど) がロマン派の香りを醸し出している.

第3楽章
ジプシー風の主題によるロンド.この最終楽章でロンドという古典派の協奏曲の定石を採用したという事実は, 第1楽章でカデンツァを自作せず奏者に委ねたことと相まって曲全体の古典的で端正な佇まいを強調している. 一方で, 古典期のロンドと異なり, 主題が登場する度に変奏されているため, 聴衆は常に新鮮な印象でこの旋律に出会うことができるのである.


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