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2016年4月14日木曜日

クラリネット五重奏曲 op.115

クラリネットを含む室内楽作品としてモーツァルトの五重奏曲と並ぶ知名度を誇る本作は, クラリネット三重奏曲op.114と平行して作曲された. ブラームスや彼の友人たち, クララ・シューマンらははじめこの五重奏よりむしろ三重奏曲の方を評価していたようだが, マイニンゲンでの非公開初演, ベルリンでの公開初演, そしてウィーンでの演奏はいずれも絶賛された.

第1楽章 ロ短調, 6/8拍子, ソナタ形式.

2016年3月23日水曜日

4つのピアノ小品集 op.119

本作はブラームスが最後に出版したピアノのための作品集で, 1993年に発表された(同じ年にピアノのための51の練習曲も出版しているが). 6つのピアノ小品op.118も同時に作曲されている. どの曲を取っても傑出した内容を持っており, ブラームスの晩年の一連のピアノ小品, そしてブラームスの122に及ぶ作品の総括に相応しい.

第1曲 インテルメッツォ
ロ短調, 3/8拍子.
第4曲でも特にそうであるが, この作品集においては不協和音の使用が目立っている. ブラームスはかねてより不協和音を好みモーツァルトの不協和音の用法を称賛していた. 交響曲第3番の時期から見られる和声法への挑戦の結果, 独自の和声感覚に到達し, それを本作において具現化したと言える. 拡大された和声法は20世紀前半にシェーンベルクらによってさらに推し進められ, 最終的に和声という概念を根本的に破壊することになる. 故に, この作品119-1は18世紀の古典和声と20世紀の前衛音楽を繋ぐという非常に重要な意義を持つ.
本作品の真価を理解するためには, 録音を聞くのではなく, 実演に接するか, 自分で演奏することを強く薦める.

2016年2月29日月曜日

クラリネットソナタ第1番 op.120-1

最晩年の作品のひとつ. 簡潔ながらも完成された作曲技巧, 一見単純だが難解な音楽的内容, 等のブラームス晩年の特徴が典型的に刻まれた傑作として知られる.

2016年2月19日金曜日

3つの間奏曲 op.117

晩年の一連のピアノ小品のための作品集の一つ. 第1曲 (Es-dur) が特に有名だが, 3曲とも充実した内容を持つ. いずれも同一のリズムに執拗にこだわる傾向を見せており, ブラームスの「節約, それでいて豊か」な作風をよく反映している.

2016年2月1日月曜日

13のカノン op.113

女声合唱のための作品は, 初期からブラームスの作品の重要な一角を占めてきた. これは, 若い頃にハンブルクにおいて女声合唱団の創設に関わり, また彼がその指導を行ったということと関係している. 今回紹介するのは後期に出版された13のカノンop.113であるが, この曲集に含まれる作品は, 作曲年代が不明であるか, かなり初期に作られたものである. それ故に, 51のピアノ練習曲の場合と同じく, 既に手元にあった練習用の作品を何らかの理由により出版する気になったものであろう.
短い作品の集まりであるが, どれも美しいもので, 女声合唱の魅力を伝えるのに十分である.

2016年1月4日月曜日

4つの厳粛な歌 op.121

ブラームスが発表した最後の歌曲集がこの「4つの厳粛な歌」であり, 第4曲を除いて死の前年1896年に作曲された.
親しい友人との死別を重ねたブラームスの「辞世の句」と言える.
その歌詞も死を主たるテーマとして取り扱うもので, まさに「厳粛な」という形容が相応しい.

第1曲 「人間の成り行きは」
人は動物と同じく死後は塵に還る, という虚無的な旧約聖書のテクストによる.
単純な音型の繰り返しを主としており一見極めて単純な楽譜に思えるが, 熟練の技により絶妙な情感が醸し出されている.

第2曲 「わたしは顔を向けて見た」
現世を嘆き, それに直面していないまだ生まれぬ者を羨むという厭世的な歌詞.
第1曲と同じく, 長年の経験の総決算とも言える作曲技巧が単純な譜面に結実している.

第3曲 「おお死よ, なんと苦々しいものか」
恵まれた者にとって死は苦痛であるが, そうでない者にとってはむしろ喜ばしいものである, という歌詞.
弱者にとっての死が, 長調に転調し死を愛おしむような歌唱で表現されるのが効果的である.

第4曲 「たとえわたしが人間の言葉で」
この曲のみ1892年に作曲された. そのためか, 歌詞も新約聖書による愛の大切さを説くものである.
ピアノ左手の弱拍に置かれた低音が, 歌唱の前向きな音楽を後ろ向きに抑制している.