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2016年4月17日日曜日

4つの歌曲 op.43

ブラームスの歌曲集として特によく知られたもので, 第1曲と第2曲がしばしば演奏される.

第1曲 永遠の愛について Von ewiger Liebe
短いモノローグに続いて, 弱気な男性に対して, その恋人である女性が固く愛を誓う. ドイツ歌曲らしい表現力と比較的大規模な構成のために極めて人気のある作品である.

第2曲 五月の夜 Die Mainacht
ナイチンゲールの声を聞き, もう会えない想い人に心を寄せる. その静謐な音楽が聴きどころ.

2016年4月4日月曜日

新・愛の歌 op.65

4重唱と連弾ピアノのためのワルツ集で, ワルツop.39, 18の愛の歌とワルツop.52に続く3番目の家庭用作品集である. 前2作 (出版はそれぞれ1866年, 1869年) やハンガリー舞曲集 (1869年) の商業的成功が念頭にあったことは間違いない.
ブラームスの民謡への愛着がよく表れた曲集である. 15曲からなり, 一定のストーリーに基づいて展開される. 作品52に比べて, 独唱曲が多く含まれるのが特徴的.

2016年3月25日金曜日

5つの詩 op.19

比較的初期のブラームスの歌曲集で, 1862年にSimrockから出版された. この次に出版された歌曲集は有名な9つの歌曲op.32 (記事) で, およそ3年のブランクがある.

第1曲 口づけ Der Kuß
恋人と初めてキスをするときの胸の高まりが情熱的に表現される.

第2曲 別離 Scheiden und Meiden
この曲と第3曲は同一の主題に基づく歌曲である. 恋人との別れに際しての感情が切々と歌われる.

2016年3月17日木曜日

5つの歌曲 op.71

この5つのリートはすべて1877年に作曲されたものであり, いずれも恋をテーマにしている. 第5曲が特によく知られており, しばしばチェロで奏される.

第1曲 春は優しい恋の季節 Es Liebt sich so Lieblich im Lenze
民謡調の親しみやすい旋律, そして短いながらも変化に富む音楽で, かなり聴きやすい作品である. 羊飼いの娘の恋の芽生えを陳述する.

2016年3月8日火曜日

5つの歌曲 op.106

1888年から1889年にかけて作曲された5つの歌曲. 「セレナ―デ」op.106-1が特に有名である.

第1曲 セレナーデ Ständchen
若者が恋人のためにセレナーデを歌う様子が語られる. 喜ばしい気分に満ちた民謡風の旋律が特徴的.

2016年3月2日水曜日

4つの二重唱曲 op.61

ソプラノとアルトのための二重唱曲4つからなる作品集. 二重唱だけを集めたものとして, 他にop.20, op.28, op.66, op.75がある.

2016年2月25日木曜日

8つの歌曲 op.59

ヴァイオリンソナタ第1番で引用されたことで有名な「雨の歌op.59-3」を含む歌曲集.

2016年2月15日月曜日

9つの歌曲 op.32

1864年に作曲されたこの作品集では, わが妃よ, そなたはなんとop.32-9が特に有名である. 恋をテーマとする作品が多い. 同時期の作品として, ピアノ五重奏曲op.34がある.

2016年2月5日金曜日

6つの歌曲 op.6

ごく初期の作品集で, 個性的な歌曲6つから構成されている.

第1曲 スペインの歌 Spanisches Lied
眠っている彼氏を眺める女性の独白を異国風の音楽に乗せている. スペイン民謡に基づくため「スペインの歌」と題したのであろうが, むしろハンガリー風に思える.

第2曲 春 Der Frühling
心弾む暖かな春の陽気に満たされた音楽.

第3曲 名残り Nachwirkung
9/8拍子という珍しい拍子で書かれている上にアウフタクトを多用するため, やや意表を突く感じがする. 恋人と会えない寂しい日のことを, 抑制されてはいるが情熱を込めて語る.

第4曲 万歳! Juchhe!
世界の美しさは誰もが知っている, と喜ばしい調子で歌う. ブラームスが書かなかったオペラのような趣がある.

第5曲 雲が太陽に向かって Wie die Wolke nach der Sonne
雲が太陽の強い光に照らされてもめげずに何度も太陽に縋る姿と, 自分と思いを寄せる女性を重ねている. 民謡調の単純な節回しだが, 第3節で短調に移る箇所が聴きどころ.

第6曲 小夜鳥は翼を動かして Nachtigallen schwingen
ナイチンゲールの小刻みな羽ばたきが, ピアノのせわしない同音連打で表現される. 鳥たちと花々の楽しげな世界と, それを見る自分の疎外感.

2016年1月26日火曜日

4つの歌曲 op.70

第1曲 海辺の庭園にて Im Garten am Seegestade
木々のざわめき, 波の打ち寄せる音, そして鳥たちの歌... 海辺の庭園を満たす音, やさしい鳥の歌で過去の実らなかった恋に思いを馳せ, 悲しみに沈む.

第2曲 ひばりの囀り Lerchengesang
愛らしいひばりの囀りを耳にして, 昔のことを思い出し感慨に耽る. ピアノ伴奏が途絶え歌唱だけとなる箇所が何か所かあり, 独特の寂寥感を醸し出している.

第3曲 セレナーデ Serenade
よく知られた歌曲のひとつで, ブラームスには数少ないゲーテの詩による作品. 悩んでいる様子の自分の子どもに対して, 手助けになりたいと優しく語りかける.

第4曲 夕立 Abendregen
前半が主人公である旅人が夕立の中を登場する情景を, 後半("Nun weiß ich"以降)が旅人の一人称で自分の頭上にかかる虹に対する想いを語る. ピアノ伴奏が地味ながらそのテクストをよく引き立てている.

2016年1月20日水曜日

6つの歌曲 op.85

第1曲 夏の宵Sommerabend
夏の夜の草原, 小川の美しさを歌った描写的な詩. 単純な構成ながらそれが逆に印象を深めている.

第2曲 月の光Mondenschein
この先の見通しが立たないのを月の光に照らして欲しい, と願う歌詞. 中間部で第1曲の旋律が用いられている.

第3曲 娘の歌 Mädchenlied
美しい薔薇を見つけたものの, それを取ってきて見せたい相手がいない少女の心模様.
セルビアの民謡詩に基くもので, スラブ系の影響がある.

第4曲 さよなら! Ade!
今度はボヘミアの民謡詩による. 恋人2人が挨拶を交わすのに花や風が同調するというもの. 民謡調で親しみやすい.

第5曲 春の歌 Frühlingslied
ひばりのさえずり, 草木の芽に春を感じ, 年老いた自分も再び花を咲かせたいものだ, と歌う.

第6曲 森の静寂の中で In Waldeseinsamkeit
森の中で恋人と二人きりになり, えも言われぬ寂寥感に襲われる様子を歌ったもの.
歌詞, 音楽ともにその独特の感情を巧妙に描き出している.

2016年1月14日木曜日

4つの歌曲 op.46

第1曲 花の冠
知られざる名曲の一. テキストは古代ギリシャ詩をもとにしたダウマーの詩で, 片思いする若者の悲哀を詠ったもの.
柔らかなピアノで始まり, 優しく静かな歌唱が導かれる. 中間部では短調となり, 思いに沈み込むような深い音楽が展開される.
ピアノの後奏では曲の冒頭が回想され, 波が引くように曲を閉じる.

第2曲 マジャールの女
民謡調の素朴な作品. マジャール人の女性の瞳の美しさを情熱的な表現で語っている.

第3曲 忘却の水を湛えた杯
つれない女性に対する想いを忘却の泉に沈めたいと願う男性の心情を強い調子で歌う. ピアノの鋭い響きが特徴的.

第4曲 夜鶯に寄せて
ブラームスの歌曲としてよく知られた作品である. タイトルの通り, ナイチンゲール (Nachtigall) を歌う曲である.
全体のバランスが取れた聴きやすい曲で, ピアノ伴奏もシンプルながら効果的.

2016年1月6日水曜日

4つの四重唱曲 op.92

四重唱はブラームスの声楽作品の重要な一角を構成する. 今回紹介するのは, 特に有名な「晩秋」を含む作品92である.

第1曲 おお、美しい夜
星々のきらめきやナイチンゲールの鳴き声に囲まれて, 美への賛美が思わず歌として漏れ出したかのような音楽.


第2曲 晩秋
ホ短調, 3/4拍子.
歌詞がわからなくてもヨーロッパの田園風景が思い浮かぶような強い描写力を持つ.
霧の垂れ込める森, 小麦畑, 最盛期を過ぎた寂しげな花, ...

第3曲 夕べの歌
ヘ長調, 4/4拍子.
白昼と夜の交わる黄昏時の情感を詠った曲.4声部とピアノの対位法的絡み合いの美しさが聴きどころ.

第4曲 なぜ?
変ロ長調, 4/4拍子.
強烈なピアノの前奏に続いて, 「なぜ歌は天に向かって響き渡るのか?」と歌われる冒頭は強いインパクトを持つ.
その後音楽は落ち着き, 歌唱によって星や月の美しさ, そして神の祝福を受けた日常が一層引き立つということが静かに述べられる.
※第4曲のみ四重唱による演奏が見つからなかったので, 合唱による演奏を掲載する.

2016年1月4日月曜日

4つの厳粛な歌 op.121

ブラームスが発表した最後の歌曲集がこの「4つの厳粛な歌」であり, 第4曲を除いて死の前年1896年に作曲された.
親しい友人との死別を重ねたブラームスの「辞世の句」と言える.
その歌詞も死を主たるテーマとして取り扱うもので, まさに「厳粛な」という形容が相応しい.

第1曲 「人間の成り行きは」
人は動物と同じく死後は塵に還る, という虚無的な旧約聖書のテクストによる.
単純な音型の繰り返しを主としており一見極めて単純な楽譜に思えるが, 熟練の技により絶妙な情感が醸し出されている.

第2曲 「わたしは顔を向けて見た」
現世を嘆き, それに直面していないまだ生まれぬ者を羨むという厭世的な歌詞.
第1曲と同じく, 長年の経験の総決算とも言える作曲技巧が単純な譜面に結実している.

第3曲 「おお死よ, なんと苦々しいものか」
恵まれた者にとって死は苦痛であるが, そうでない者にとってはむしろ喜ばしいものである, という歌詞.
弱者にとっての死が, 長調に転調し死を愛おしむような歌唱で表現されるのが効果的である.

第4曲 「たとえわたしが人間の言葉で」
この曲のみ1892年に作曲された. そのためか, 歌詞も新約聖書による愛の大切さを説くものである.
ピアノ左手の弱拍に置かれた低音が, 歌唱の前向きな音楽を後ろ向きに抑制している.