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2016年4月4日月曜日

新・愛の歌 op.65

4重唱と連弾ピアノのためのワルツ集で, ワルツop.39, 18の愛の歌とワルツop.52に続く3番目の家庭用作品集である. 前2作 (出版はそれぞれ1866年, 1869年) やハンガリー舞曲集 (1869年) の商業的成功が念頭にあったことは間違いない.
ブラームスの民謡への愛着がよく表れた曲集である. 15曲からなり, 一定のストーリーに基づいて展開される. 作品52に比べて, 独唱曲が多く含まれるのが特徴的.

2016年3月6日日曜日

ピアノ四重奏曲第3番 op.60

本作品を論じる際には, 常にゲーテの小説「若きウェルテルの悩み」が引用される (jawp記事). というのも, 本作の下敷きとなる嬰ハ短調のピアノ四重奏曲が書かれたのは, シューマン夫妻との出会いやロベルト・シューマンの自殺未遂から死別, アガーテ・フォン・ジーボルトとの婚約に関する一連の騒動といった出来事と同時期であり, その意味でこの曲はブラームスの「青春の結晶」と言えるからである. それを後年になってハ短調のピアノ四重奏曲として改稿して出版したのがこのop.60であり, その由来から当然であるが, 同時期の他の作品とは異なる, 若いブラームスを思わせる作品となっている.

2016年3月2日水曜日

4つの二重唱曲 op.61

ソプラノとアルトのための二重唱曲4つからなる作品集. 二重唱だけを集めたものとして, 他にop.20, op.28, op.66, op.75がある.

2016年2月25日木曜日

8つの歌曲 op.59

ヴァイオリンソナタ第1番で引用されたことで有名な「雨の歌op.59-3」を含む歌曲集.

2016年2月11日木曜日

勝利の歌 op.55

普仏戦争におけるプロイセンの勝利を記念して作曲され, ドイツ帝国初代皇帝ヴィルヘルム一世に献呈された. 3つの楽章から構成される, 管弦楽伴奏つき合唱曲.

第1楽章
明るく祝祭的な雰囲気のオーケストラの短い前奏に続き, 合唱が力強く「ハレルヤ」と歌い始める.

第2楽章
ト長調で, 第1楽章よりは落ち着いた雰囲気.

第3楽章
短調で開始されるが, すぐに勝利の凱歌に移る.

2016年1月30日土曜日

弦楽四重奏曲第1番 op.51-1

交響曲の場合と同じく, ブラームスにとって弦楽四重奏曲というジャンルはベートーヴェンを意識せずにいられないものであった. ベートーヴェンが作品を残していない弦楽六重奏のためには, 比較的早い時期にop.18とop.36という2つの傑作を残しているが, 弦楽四重奏曲を発表するのはop.51, 彼が40歳のときとかなり遅くなってからである (それでも交響曲よりは早いが). 伝えられるところによると, 現在第1番として知られているこの作品の前に, およそ20の四重奏が作曲され, 廃棄されている. その厳しい自己批判を通り抜けただけあって, この第1番と, 同時に発表された第2番は, 高い完成度と充実した内容を誇っている. ブラームスの弦楽四重奏曲はあと1曲, 第3番op.67で完結する.

2016年1月14日木曜日

4つの歌曲 op.46

第1曲 花の冠
知られざる名曲の一. テキストは古代ギリシャ詩をもとにしたダウマーの詩で, 片思いする若者の悲哀を詠ったもの.
柔らかなピアノで始まり, 優しく静かな歌唱が導かれる. 中間部では短調となり, 思いに沈み込むような深い音楽が展開される.
ピアノの後奏では曲の冒頭が回想され, 波が引くように曲を閉じる.

第2曲 マジャールの女
民謡調の素朴な作品. マジャール人の女性の瞳の美しさを情熱的な表現で語っている.

第3曲 忘却の水を湛えた杯
つれない女性に対する想いを忘却の泉に沈めたいと願う男性の心情を強い調子で歌う. ピアノの鋭い響きが特徴的.

第4曲 夜鶯に寄せて
ブラームスの歌曲としてよく知られた作品である. タイトルの通り, ナイチンゲール (Nachtigall) を歌う曲である.
全体のバランスが取れた聴きやすい曲で, ピアノ伴奏もシンプルながら効果的.

2016年1月3日日曜日

ハイドンの主題による変奏曲 op.56

本作品が発表されるまで, 管弦楽のための作品としては初期にピアノ協奏曲および2曲のセレナーデを発表して以来10年が経過している.

主題
木管楽器を中心として穏やかな主題が提示される.
やや変則的な5小節を単位とする旋律であるが, それに伴う不安定感は一切感じられない.

第一変奏
主題の最後の同音連打を金管楽器が反復すると, 弦楽器の流れるような旋律が零れ落ちる.

第二変奏
変ロ短調に転調する. オクターブの跳躍が目立つ弦楽器と, 付点のリズムで細かく動く管楽器の対比.

第三変奏
再び長調に戻り, 息の長いメロディが奏でられる.

第四変奏
3/8拍子でテンポを落とし, 短調の悲しい歌となる. 上昇音型のメロディと, 16音符で下降する対旋律.

第五変奏
6/8拍子の軽快な変奏. 頻繁なアウフタクトが目立つ.

第六変奏
2/4 拍子に戻り, もとの主題の旋律が再び明確に提示される. ホルンの勇壮な響きが特徴的.

第七変奏
シチリアーノのリズムによる, 間奏曲風の音楽.

第八変奏
変ロ短調の主和音が回避される結果として, 落ち着かない不気味とすら言える変奏である.

終曲
終曲は, これ自体がもとの変奏曲主題を簡略化した主題に基づくパッサカリア (変奏曲の一種)となっている.
対位法的操作が多く, 初聴ではパッサカリア主題の提示を認識するのがやや難しい.
数年後に完成される交響曲第1番に類似したパッセージがいくつか含まれるのが興味深い.
途中の短調の部分から長調に戻る際にもとの変奏曲主題も再現する.

2016年1月1日金曜日

ドイツ・レクイエム op.45

ラテン語の祈祷文に基づくモーツァルトやヴェルディのレクイエムとは異なり、
本作品の歌詞はドイツ語訳聖書の文言をブラームスが自由に取り出し、配列し直したものとなっている。
それ故に、実際の式典用として用いられない、純「演奏会用」のレクイエムと言える。
このジャンルには他にウォルトンの戦争レクイエムなどがある。

全体で7曲70分という大曲で、ブラームス全作品中最も規模の大きな楽曲である。
この曲の構想および作曲にはロベルト・シューマンおよびブラームスの母親クリスティーネの死が影響している。
その結果、人の悲しみ、慰め、敬虔な祈りといった感情が音楽に露骨に刻印されている。
ブラームスが交響曲を中心とする器楽作品では標題音楽と距離を取っていることを思うと、
このレクイエムはブラームスらしくないと評価されるかもしれない。
しかしながら、声楽作品ではそのような個人的動機に基づく作品も散見され、
彼の音楽の器楽とは異なった切り口を提示していると見るのが妥当であろう。
作曲技法の面では、古めかしい対位法を駆使するなど、古い音楽の研究の集大成となっており、
ドイツ・レクイエム (そして交響曲第1番) によってブラームスは彼個人の様式を完全に確立することになる。

この作品のブレーメンでの初演の成功 (ブラームス35歳のとき)によって、
ブラームスはドイツを代表する作曲家という名声を獲得した。

第1曲
ヘ長調、4/4拍子。
低音で響くF音に乗せられて、チェロとヴィオラが控えめに主題を提示し、この壮大な作品の幕を開ける。
弦楽の対位法的な展開を経て、合唱が静かに'Selig sind' 「幸いなるかな」とこの作品全体を貫くモチーフを歌い始める。
第1曲は全体を通して教会で静かに祈りを捧げるような雰囲気で満たされている。
なお、第1曲においてはヴァイオリンが用いられていない。

第2曲
変ロ短調、3/4拍子。
第1曲とは異なり、第2曲は2部構成でそれ自体ひとつのストーリーを持っている。
冒頭、オーケストラによって鬱々とした響きが奏でられると、合唱がそれに応じてこの世の無情さを歌う。
第1部の中間部では長調に移り、忍耐と大地の恵みが柔らかな口調で説かれるが、再び冒頭の沈鬱な音楽が戻ってくる。
唐突にフォルテで主による救いが宣言されるのが第2部の開始の合図となる。
男声合唱で力強く歌われる主題が次いで女声に移り、対位法的にフーガのような盛り上がりを見せる。

第3曲
ニ短調、2/2拍子。
前半ではバス独唱を中心として生きることの苦悩が語られ、後半で神のもとでの救いが歌われる。
全体の構成は第2曲に類似している。

第4曲
変ホ長調、3/4拍子。
前2曲とはまた雰囲気が変わり、安らかな音楽となる。
比較的短い曲であるが、ブラームスの得意とする変奏技法がふんだんに用いられている。

第5曲
ト長調、4/4拍子。
ソプラノそろ3を中心とする、やはり短い曲。
全体として穏やかな音楽が続くが、その中で悲しみと慰めが歌われる。
途中でチェロのソロが登場するなど、これまでの重みのあるオーケストレーションではなく軽く室内楽的な響きによる。
その結果として透き通った天国のような美しさが具現化している。

第6曲
ハ短調、4/4→3/4→4/2。
全曲中最大の盛り上がりを見せる山場がこの第6曲である。
はじめ合唱が重々しく長調とも短調とも決まらないメロディを歌う。
バス独唱がそれを引き継ぐと、徐々に暗さを増しつつ音楽を展開させていく。
その頂点で金管楽器の鋭い響きとともに、死との葛藤を表す激しい音楽へ雪崩れ込む。
最後にはハ長調に辿り着き、主の栄光を明朗なフーガで称える。w

第7曲
ヘ長調、4/4拍子。
第1曲と同じヘ長調で、今度は解放と祝福が歌われる。
音楽の素材も第1曲に基づいており、全曲を主題の上で統一している。