2016年1月5日火曜日

ピアノ三重奏曲第2番 op.87

円熟期の作品. 同時期の作品にピアノ協奏曲第2番などがある.
3曲のピアノトリオの中で, クララ・シューマンが最も愛好したものと伝えられる.

第1楽章
ハ長調, 3/4拍子, ソナタ形式.
冒頭ヴァイオリンとチェロのユニゾンで提示される第1主題をもとに, 溌剌とした音楽が提示される.
その後, ト長調による第2主題に続き様々が楽想が立て続けに現れる様子は, 交響曲第2番の1楽章を思わせる.
展開部は, 第1主題を3人で奏でると, 弦楽器とピアノに分かれて強烈な掛け合いとなる.
それがひと段落すると, 第1主題に基づく旋律がチェロで歌われる.
再現部は第1主題部が大きく変形されている他は型通り.

第2楽章
イ短調, 2/4拍子, 変奏曲
物悲しい旋律による主題と5つの変奏からなる変奏曲. この時期に他に変奏曲形式を用いた作品がないという点は注目に値する.
第4変奏で長調かつ6/8拍子で美しい旋律が奏でられる.

第3楽章
ハ短調, 6/8拍子, スケルツォ
細かく走り回るピアノや, 弦楽器の同音の刻みが特徴的なスケルツォ. 管弦楽作品とは異なる, 私的な音楽の印象が強い.
トリオでは, ヴァイオリンとチェロのメロディの絡み合いが繰り広げられる.
初期のFAEソナタの第3楽章との類似性にも注意したい.

第4楽章
ハ長調, 4/4拍子, ソナタ形式
Fis音やDis音が強調された耳慣れない響きの第1主題は, この時期のブラームスの和声への挑戦を詳らかにする.
この努力は, 交響曲第3番として結実することになる.
音の跳躍が多い第2主題, 無窮動のような小結尾を経て, その無窮動の雰囲気が支配的な展開部へ流れ込む.
コーダでは, 第1主題によるゆったりした音楽の後に, 大きく盛り上がり第2主題, 第1主題が再現され, 朗らかに曲を結ぶ.

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