2016年1月3日日曜日

ハイドンの主題による変奏曲 op.56

本作品が発表されるまで, 管弦楽のための作品としては初期にピアノ協奏曲および2曲のセレナーデを発表して以来10年が経過している.

主題
木管楽器を中心として穏やかな主題が提示される.
やや変則的な5小節を単位とする旋律であるが, それに伴う不安定感は一切感じられない.

第一変奏
主題の最後の同音連打を金管楽器が反復すると, 弦楽器の流れるような旋律が零れ落ちる.

第二変奏
変ロ短調に転調する. オクターブの跳躍が目立つ弦楽器と, 付点のリズムで細かく動く管楽器の対比.

第三変奏
再び長調に戻り, 息の長いメロディが奏でられる.

第四変奏
3/8拍子でテンポを落とし, 短調の悲しい歌となる. 上昇音型のメロディと, 16音符で下降する対旋律.

第五変奏
6/8拍子の軽快な変奏. 頻繁なアウフタクトが目立つ.

第六変奏
2/4 拍子に戻り, もとの主題の旋律が再び明確に提示される. ホルンの勇壮な響きが特徴的.

第七変奏
シチリアーノのリズムによる, 間奏曲風の音楽.

第八変奏
変ロ短調の主和音が回避される結果として, 落ち着かない不気味とすら言える変奏である.

終曲
終曲は, これ自体がもとの変奏曲主題を簡略化した主題に基づくパッサカリア (変奏曲の一種)となっている.
対位法的操作が多く, 初聴ではパッサカリア主題の提示を認識するのがやや難しい.
数年後に完成される交響曲第1番に類似したパッセージがいくつか含まれるのが興味深い.
途中の短調の部分から長調に戻る際にもとの変奏曲主題も再現する.

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